保険屋に未来はあるか?

保険業界ってどうなるんでしょうか?そんなことについて自分勝手な考えを淡々と呟くブログです。

後悔

人生は誰にでも等しくあるものではない。
たった70有余年前に私たちの未来のために自分の生を諦めた方がいる。しかし、単に諦められたのではなく「それは将来の日本に幸福の種を遺す」為だった。つい最近に至るまで、それこそ何十年も、自分の幸せに気付くことなく無為に過ごしていたことをいま悔いている。

 

歌から生まれた不思議な不思議な国・日本: 若者に知ってほしい伝統と精神 (22世紀アート)"(永井 一夫 著)からの引用。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

木村久夫陸軍上等兵

おののきも悲しみもなし絞首台  
    母の笑顔をいだきてゆかむ 
風も凪ぎ雨も止みたりさわやかに
    朝日をあびて明日は出でまし
処刑半時間前擱筆す 木村久夫


日本は負けたのである。そして全世界の憤怒と非難の真っ只中に置かれている。今私は世界全人類の気晴らしの一つとして殺されるのである。誠に残念ではあるがこれで世界人類の気持が少しでも静まればそれでいい。それは将来の日本に幸福の種を遺すことになるのである。……日本軍隊のために犠牲になると思えば死に切れないが、日本国民全体の罪と非難を一身に受けて死ぬと思えば腹も立たない、笑って死んでゆける。それにしてもこの事件に於いて最も態度の卑しかったのは陸軍の将校達に多かった。これに比すれば海軍の将校達は遥かに立派であった。……今日日本がこの状態になったのは、この無謀な戦争を引き延ばし勝つ見込みもないまま戦争を続けた軍部に一番の責任はあるだろう。しかし、満州事変の軍部の独走を許してきた全日本国民にその大きな責任があることを知らねば。日本はあらゆる面に於いて社会的、政治的、思想的、人道的な試練が足りなかった。これからの日本人はあらゆるものに対して正しく認識し、吟味し、価値判断する能力を持たねばならない。これこそが二度と間違いを犯さぬ基礎となり、我が国に真の発展を来たす所以である。すべての物語が私の死後より始まるのは悲しいが、私に代わってもっと立派な聡明な人がこれを知り且つ指導してくれるであろう。日本は根底から変革し構成し直さなければならない。若き学徒の活躍を祈る。もう私には時間がない。ここには父母や妹の写真が無いので朝夕眼を閉じて昔のお顔を思い出して挨拶しています。若し世に言う来世というものがあるなら祖父母にも戦死した学友達にも会えることでしょう。もう書く時間もない。いよいよ死に赴きます。皆様お元気で、さようなら さようなら。


身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも 留め置かまし 大和魂

 

<引用終わり>

f:id:K050815revival:20210124115838j:image