保険屋に未来はあるか?

保険業界ってどうなるんでしょうか?そんなことについて自分勝手な考えを淡々と呟くブログです。

酷い話

ビッグモーターの件は、広く世間に知られることとなり、中でも損害保険ジャパンは昨年夏に他の2社のスタンスに反して入庫を再開したこと、出向者の数が飛び抜けていることから特に批判を浴びる対象となっている。

みなさんは2006年の損害保険ジャパンに始まった損保大手社の業務停止を覚えているだろうか?あの時、経営トップに居座り続けようとして小手先の企業再建を打ち出した当時の社長が、金融庁の圧力もあってか結局は数日の間をおいて退陣せざるを得なくなった。そんな経験を通して企業文化を変えようとした筈だったのではないか?

日頃、保険代理店などの販売委託者に対し、コンプライアンスの徹底、お客様本位の業務運営といったことを日常業務のみならず点検や監査の際に「大事なことです」と言っているのは誰だったのか?

損害保険ジャパンに限らずだが、特に同社は(報道によれば不正行為を知っていたにも関わらず)隠蔽しようとした疑いを持たれており、他社以上に批判が集まりやすくなっており、政府与党や金融庁幹部から名指しされる事態となっている。

さて、なぜそうなってしまったのか?

出向者の存在は過去からのものであり、この事象が報道されるようになってからでは既に消し去り様がなかったが、入庫停止は継続できたはず。信じられないことに損害保険ジャパンは何を焦ったのか「入庫再開」という悪手を採った。とどのつまり、同社には「コンプライアンス」というものなんて根付いていなかったということだ。「隠し通せる」と思ったのか?ここにはリアリストであるべき(大企業としての)経営者の判断はない。想像でしかないが、あのとき、損害保険ジャパンの社内では未熟としか言いようのない庇い合いの構図が展開されていたのではないだろうか?

いずれにしても損害保険料率算出機構が参考純率を計算しなければならない事態に陥った。損害保険ジャパンの社長も金融庁が繰り出すいくつかの処分の過程のどこかのタイミングで、いずれ退陣せざるを得ないだろう。歳若く社長になり同時に損害保険協会長となった時の華々しさとは逆に、悪名を背負ってこの業界から去っていくことになるのだろうか。

しかし、いつになったらこの保険業界に「コンプライアンス」は根付くのだろうか?